感想文は思ったままを書けばいい 【スガリさんの感想文はいつだって斜め上】


「読書感想文」がこんなに面白くなるなんて

子どもの頃の夏休み、いちばん苦手だった宿題といえば「読書感想文」でした。
本を読むのは嫌いじゃないのに、「正解」が分からない。
自分の気持ちを書くのが恥ずかしい。
人と違う意見を言ってしまったら、笑われるんじゃないか――そんな不安が、いつも頭のどこかにありました。

そんな私が出会ったのがこの本、
『スガリさんの感想文はいつだって斜め上』です。


読書感想文が、事件とつながる?

感想文を書くことが、物語の「核」になっている――そんな一風変わった設定に、まず惹かれました。
スガリさんは、他の誰とも違う視点で本を読み、まさに「斜め上」の感想を書いていきます。
その感想が周囲の出来事と絶妙に絡み合い、ただの感想文では終わらない展開にどんどん引き込まれていきました。

作中には夏目漱石の『こころ』や、新美南吉の『手袋を買いに』が登場しますが、どちらも読んでいなくても問題なし。
きちんとあらすじが紹介されているので、誰でも安心して読み進められます。


「思ったことを、そのまま書いていい」

スガリさんの感想文を読んでいて、何度もハッとさせられました。
「自分の感じたことを、素直に書いていいんだ」と。
たとえそれが人と違っても、「私はそう思ったから仕方がない」と言える強さが、スガリさんにはあります。

感想文に限らず、誰かに何かを伝えるとき、自信を持って「これが私の考えです」と言えるって、すごく大事なこと。
そして、ちょっと勇気のいることでもあるなと、改めて思いました。


ただの変わり者? それとも――

スガリさんの不思議な魅力には、どこか「闇」のようなものも感じます。
彼女の行動や言動にはときどきゾクリとする場面もあって、「この子は一体、何を抱えているんだろう?」と気になって仕方がありません。
本作ではその全貌までは語られませんが、きっと続編で明かされていくのでしょう。


最後に:読書がちょっと好きになる

この本を読み終えて、久しぶりに「感想文」を書きたくなりました。
昔は苦手だったけれど、「思ったことをそのまま書けばいい」と思えたら、ずいぶん気が楽になります。

読書が好きな人はもちろん、感想文が苦手だった人にもぜひ手に取ってほしい一冊です。
そして、スガリさんの次の感想文が、どんなふうに世界を揺さぶってくれるのか――続きが楽しみでなりません。


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