調べものに役立つ“本”の宝庫
「調べもの」といえば今では検索エンジンを使うのが当たり前の時代。でも、情報があふれるネットの中で、信頼できる情報にたどりつくのは意外と難しいものです。
『使えるレファ本150選』(日垣隆 著)は、そんな現代にこそ読みたい一冊。辞典、事典、白書、年鑑、教科書など、さまざまな「調べるための本=レファレンスブック」を150冊も厳選して紹介しています。
単なる書籍リストではなく、著者自身の使用例や活用術も添えられていて、「本を使って調べる」という行為の楽しさと奥深さが伝わってきます。
― レファレンスブックとは何か?
レファレンスブックとは、知識を得るための「道具」として使う本のこと。何かを調べたり、深く理解したりするために手元に置いておく“知の相棒”です。ネットで断片的に得る知識とは違い、体系的な理解や広い視野を持つために不可欠な存在とも言えるでしょう。
驚きと発見の連続。気になったレファ本たち
この本で紹介されている150冊の中には、専門家しか知らないような本から、一般向けにわかりやすく書かれた実用書まで、多彩なラインナップが並んでいます。ここでは、特に印象に残った2冊を紹介します。
● 『数え方の辞典』で語彙力が広がる
「一匹」「一杯」「一着」など、日本語には独特な“数え方”があります。この辞典は、そうした言葉を集めて整理した一冊です。意外と知らない数え方や、その背景にある文化的意味に触れることで、日常の言葉に対する理解が深まります。読んでいるだけで語彙力が磨かれていく感覚が心地よい本です。
● 『人生儀礼事典』で文化の深層に触れる
人の一生には様々な節目があります。誕生、入学、結婚、葬儀……。『人生儀礼事典』は、そうした人生の儀礼に関する知識を網羅した書籍です。「香典」の意味や地域ごとの違い、昔の婚礼儀式など、知っているようで知らなかった情報が満載。読み物としても、エッセイや創作の参考資料としても優秀な一冊です。
ネット検索ではたどり着けない知識がある
どんなキーワードで検索すればいいのか分からないとき、ネットは無力です。その点、本には「目次」や「索引」があり、何気なく開いたページから思わぬ発見があることもしばしば。
― 「偶然の出会い」こそ紙の本の醍醐味
たとえば『人生儀礼事典』を手に取ったことで、まったく調べるつもりのなかった「徴兵検査」や「江戸時代の離婚制度」のことまで知ることができます。こうした偶然の発見は、検索では味わえない“知的冒険”です。
レファ本の選び方と使い方のヒント
『使えるレファ本150選』では、ただ書名を挙げるだけでなく、「どういうときにその本を使うべきか」がしっかり示されています。
― ジャンルごとの使い分け
本書では、以下のようなジャンル別に本が分類されています:
- 言葉・辞典系
- 歴史・文化系
- 政治・経済・社会系
- 理系知識・図鑑系
- ビジュアル資料・写真資料
自分がよく書くジャンルや、調べたい分野を意識して読むことで、効率よく“使える本”を見つけることができます。
― 調べものが得意になるコツ
調べることは「探偵のような作業」です。1冊の本の中から必要な情報を引き出す技術、情報の信頼性を見抜く目、本と本をつなぐ連想力――これらの技術は、日々の読書やレファ本の活用を通じて身についていきます。
まとめ:レファ本は「知の旅のガイドブック」
執筆や資料作成に関わる人はもちろん、純粋に「学ぶのが好きな人」にも本書は強くおすすめできます。
調べものに迷ったとき、書き出せずに悩んだとき、そっと手を伸ばせば道を示してくれる、そんな“ガイドブック”として、本棚に一冊常備しておきたい本です。
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